環境への取り組み

低炭素社会実現

当社は、ビジネスの性質上、工場などの製造設備を持たないため、製造業に比べCO2の排出量は相対的に少ないと言えますが、企業としての責任を果たすべく、CO2の更なる削減へ向け最大限の取り組みを行っています。 具体的には、オフィス内のこまめな消灯や、ビジネスカジュアルの実施による使用電力の削減など、様々な取り組みを実施しています。 これからも、高千穂交易は、CO2排出量削減、ひいては地球温暖化防止に向けて、今後も取り組みを継続してまいります。

営業車のエコカー利用

現在、営業車の約90%でエコカーを利用しています。車両変更時にははエコカーの選択を基本ルールとしており、将来的に100%を目指します。

オフィス内のこまめな消灯

担当部門が中心となり、働きやすい環境を維持しながら、使用電力の削減を推進し、下記の取り組みを行っています。

  • 室温の設定温度を設けエリア毎にエアコンの電力管理の徹底。
  • エアコンの消し忘れ防止のため社内アナウンスを実施。
  • 「省エネガイドライン」をもとに省エネ活動を推進。

ISO14001環境マネジメントシステムにおけるTKグループの目標の1つとして、定期的な実績集計、前年度比較を行い、結果に対して適切な対応をしています。

ビジネスカジュアルの実施

当社は2022年よりカジュアルデーとして限定的に実施していたビジネスカジュアル等の軽装での勤務推進を更に発展させ、2023年4月より毎日実施することに致しました。
これは、従来から地球温暖化対策として実施してきましたクールビズとウォームビズを含め年間で取り組むことと、働き方改革の一環として社員の自主性を尊重し、自己実現に繋げることを目的としています。

循環型社会形成

ペーパーレス推進

当社の環境マネジメントシステムにおけるTKグループの目標の1つとして、資料などのペーパーレス化を推進しています。(印刷物・コピーの削減、裏表印刷/複数ページを1ページにまとめての印刷、誤印刷削減、ペーパーレスFAX受信、モニター増設など)また、定期的な実績集計、前年度比較を行い、結果に対して適切な対応を行っています。

廃棄物処理・削減

産業廃棄物削減

環境マネジメントシステムにおけるTKグループの目標の1つとして自社の産業廃棄物発生量の削減を推進しています。定期的な実績集計、前年度比較を行い、結果に対して適切な対応を行っています。

一般廃棄物の適切な分別と再資源化

担当部門で一般廃棄物の分別を徹底し、再利用可能なものは再資源化を実施しています。(古いPCやスマートフォンの業者引き取り。)

気候変動への対応

当社はエレクトロニクスを核とした「技術商社」として、世界の先端商品をいち早く紹介し、市場に新たな価値を提供し続けることを使命としてきました。パリ協定を踏まえ、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の推進により、社会課題解決への動きが活発となり、株式市場ではESG投資への関心が高まっている状況に対し、当社も事業を通じた社会課題の解決を目指して、産業と社会の持続的発展に貢献してまいります。当社事業において、金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言する気候変動による直接的な環境影響は大きくないと想定されますが、気候変動への対応の重要性を鑑み、経営課題の一つとして捉えています。

当社は、気候変動関連への対応やそれによる財務情報開示の重要性を理解し、中長期的な目線で温室効果ガス(GHG)排出量削減、エネルギー利用の見直し、自然災害への備えなどのリスクと機会を考慮し、TCFDによる提言への賛同を視野に入れ取り組んでまいります。

ガバナンス

高千穂交易グループでは、サステナビリティ基本方針のもと気候変動を含めた環境保全やそれによるリスク管理などを重要事項と位置付け、取締役会にて審議、進捗管理を行っております。また、TCFDの取り組みに向け、環境管理責任者を担う取締役がオーナーとなっているサステナビリティ推進プロジェクトを結成して推進してまいります。TCFDに関する同プロジェクトでの決定内容は取締役会に上程され、毎年取締役会にて気候変動関連のリスク及び機会の評価と、関連する目標や取り組みの進捗状況が報告され、取締役会による実効性のある監督を実施しています。本件はサステナビリティ推進体制をベースに行ってまいります。

戦略

高千穂交易グループの主要事業であるクラウドサービス&サポート、システム、デバイスの3つのセグメントにおいて、気候変動が及ぼす機会とリスクの影響時期を短期・中期・長期の視点で検討しました。4℃シナリオでは気温上昇による異常気象や自然災害などの物理リスクが考えられ、その中でも当社グループとしての機会を検討し、1.5℃シナリオでは政策や規制、関連団体からの要請など気候変動対策を行う上での移行リスクが考えられ、同時に当社グループの機会を検討しました。また、特定した機会とリスクにおいて、当社グループが受ける事業活動や財務への影響度合いを大・中・小にて評価しています。

気候変動関連リスクと機会

シナリオ 当社への影響 当社の対応 影響時期 影響度
物理シナリオ
4℃
物理的
リスク
慢性
リスク
  • サプライチェーンが適切に機能しなくなり、仕入先工場においても自国を守るための志向が強くなるため、材料費高騰や燃料高騰に伴う輸送コストが増大し、製品競争力が低下
  • 日本国内もしくは近隣国で生産している製品の取り扱いを拡大させる、もしくは自社ブランド製品の開発を行う。
  • ソフトウエアやクラウドサービスビジネスへの転換。
長期
  • 常に大気が不安定な地域が発生することに加え、地域紛争が増えることにより、船舶、飛行機の運行が制限され海外輸送ルートが変更されたり、海水面の上昇により港湾設備の一部が使用不可となるなど国内外の物流の遅延・混乱が深刻化、常態化する
  • 海外輸送プランを複数案準備する。
  • 製品の調達先を市場に近い場所へと変更し、輸送ルートを短くする。
長期
急性
リスク
  • 水害被害の高まりによる製品保管倉庫リスクやオフィス閉鎖、サプライチェーン分断に伴う営業機会損失
  • 水害(洪水)の影響を受ける可能性の高い倉庫や子会社について、場所移管の検討を行う。
  • 災害BCP対策の強化を図る。
  • 社内及び重要取引先の水害リスクマッピングを作成する。
中期
機会 製品・
サービス
  • 金融ショックや食糧危機、紛争犯罪等の発生により治安の不安定化及び犯罪件数の増加
  • 地域社会の安心と安全を提供するサービスを展開する。
  • 多様なセキュリティカメラや防犯センサー関連の商材を展開し、犯罪抑止や削減に繫げ、治安改善に貢献する。
長期
  • 猛暑・熱波による物理的被害拡大に伴いインフラ監視システム需要やモニタリング需要増加
  • 各種IoTセンサーなどを多用したスマートシティ化に向けたクラウドサービスの販売強化。
  • BCP対策としてのセンシング・モニタリングシステムの製品・サービスを検討する。
長期
レジリエンス
  • 高温環境対応の製品・サービスの需要の増加
  • 各種高温耐久デバイス製品・廃熱量の低い製品、高温下での居住空間環境を快適にさせる各種システム、デバイス製品の開発・販売を拡大する。
  • 電子機器の省電力化のため、パワー半導体関連の製品・サービスを開発・販売する。
中期
移行シナリオ
1.5℃
機会 資源効率
  • 効率化の必要性の高まり
  • 流通・販売・メンテナンスプロセスのデジタル化、サービスのオンライン化、AIの有効活用の推進。
  • クラウドサービスビジネスの強化により、効率的な在庫運用を目指す。
中期
  • 自然エネルギー(再生可能エネルギー)の更なる普及
  • FIT終了時に発生する太陽光・パワコン切り替え需要に向けた販売体制構築を行う。
  • 再生可能エネルギーへの移行に伴う蓄電技術や、無線通信技術発達のためのパワー半導体や無線通信用半導体、機構部品の販売を増加する。
短期
製品・
サービス
  • 環境配慮型・省エネ製品の需要増加
  • 環境や人にやさしい製品の取り扱いの拡充。
  • 新技術によるエコ材料やエコ機能を搭載し、省電力など環境負荷低減に寄与する半導体・電子部品、機構部品を開発・開拓及び投入する。
  • 製品販売からクラウドサービスビジネスへの売上比率転換し、製造や物流による環境リスクを低下させる。
短期
  • デジタライゼーションに関する製品、ソリューションの需要増加
  • AIを活用した解析システムの開発による各種製品・サービスの展開を行う。
  • 環境リスクに配慮し、製造や物流におけるコスト上昇の影響を回避するため、サブスクビジネス、サービスビジネスへ売上比率を転換していく。
短期
  • 製品回収スキーム、サーキュラーエコノミー(修理ビジネス)の需要増加
  • 循環型ビジネスを展開し、製品の回収を実施する。回収を手掛けるメーカーとの取引を増加させる。
  • リサイクル可能な原材料を使用した開発・開拓、投入を目指す。
中期
市場と
技術
  • EV車の普及による充電ステーション設置の需要増加
  • ガソリン車と比較して充電(エネルギー補給)に時間がかかるため治安の悪いエリアではセキュリティ対策が必須となるEV用。充電ステーションへの新たなセキュリティ需要に対してAIを活用した映像解析や各種センサーのコントロールによるサービス展開を行う。
中期
レジリエンス
  • 人にやさしい、心地よい空間の需要増加
  • 空調、空間、セキュリティ等の調和がとれた居住空間、オフィス環境を提供する。
  • スマートシティ、ビル管理をターゲットとした統合ソリューションを提供する。
短期

 

中期

移行
リスク
政策・
法規制
  • 炭素税導入に伴う、仕入れ及び輸送コスト、操業コストの増加
  • 連結ベースのGHG Scope1〜3 排出量算定を実施し、開示する。
  • 製品・サービス毎にカーボンフットプリントを算定し、カーボンフットプリント低減の施策を検討する。
短期
市場
  • 顧客ニーズの変化
  • リユース、リサイクル製品の取扱製品数増加させ、循環型ビジネスを展開する。
  • 取引先との継続的な対話を実施し、状況や動向を注視する。
長期
評判
  • ESG開示情報不足による企業評価や企業ブランドの低下
  • 連結及びサプライチェーンベースでの積極的なサステナビリティ情報開示を推進する。
  • 当社グループ全体で脱炭素・ESG対応を積極的に推進する。
中期

※影響時期は「短期:0~3年間」、「中期:4~10年間」、「長期:11~30年間」を想定しています。

シナリオ分析

気候変動リスクに対する事業戦略のレジリエンスを評価するため、気候変動関連のリスクと機会について、21世紀中の気温上昇が(a)4℃となる場合(現状のまま世界が温室効果ガスを排出し続けるシナリオ)、(b)1.5℃未満となる場合(温室効果ガスの排出規制が急速に強化されるシナリオ)の2つのシナリオに基づいて分析しました。その結果、(a)では気候変動の影響による異常気象によって起こされる⽔害など、(b)では炭素価格導⼊などによる事業コスト増加の影響が⾒込まれます。しかし、いずれのシナリオにおいても当社が事業展開をしているネットワークや監視カメラシステム、居住空間の安心安全快適性へのニーズの⾼まりが想定され、コストを上回る製品・サービス需要が拡⼤する⾒通しであることがシナリオ分析実施の結果から確認出来ました。

シナリオ分析のプロセス

各事業部からメンバーを選抜し、外部専⾨家とともにシナリオ分析実施のためのワーキンググループを設置しました。気候変動における物理的リスクと移⾏リスクのシナリオを設定し、各シナリオで将来起きうる事象とバリューチェーンへの影響をリスクと機会の観点から特定しました。そして、特定した⾃社への影響ごとに、当社としての現在の取り組み及び今後の展望を整理しました。

  • Step1:気候関連シナリオを参照し、シナリオを設定
  • Step2:事業が影響を受けやすいリスク要因を特定・評価
  • Step3:特定したリスク・機会要因に対し潜在的な対応を検討

選定した気候シナリオ

IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等の公開情報に基づく4℃および1.5℃シナリオ。
物理的シナリオ:IEA Stated Polices Scenario(STEPS)およびIPCC RCP 8.5シナリオを参照。気温上昇が19世紀後半から2100年までで4℃近く上昇する。災害など気候変動による物理的な影響(物理リスク)が顕著となる。気候変動に関する規制強化は⾏われないため、移⾏リスクの影響は⼩さい。
移⾏シナリオ︓IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)およびIEA Announced Pledges Scenario(APS)、IPCC RCP2.6シナリオを参照。気温上昇が19世紀後半から2100年までで1.5℃に抑えられる。炭素価格制度やGHG排出規制の導⼊など脱炭素社会への移⾏に伴う影響(移⾏リスク)が顕著となる。物理リスクの影響は4℃シナリオに⽐べて⽐較的小さい。

リスク管理

高千穂交易グループでは代表取締役社長を委員長とした危機管理委員会を設置し、品質・環境・事業上のトラブル・情報セキュリティなどに関連した経営・事業上のリスクや事象を各データベース上で管理しています。影響度や発生頻度などでリスクの重要度をランク付けし、四半期ごとに委員会にてレビューを実施しています。気候変動関連におけるリスク管理も同様に行い、特定されたリスク及び機会については、適宜サステナビリティ推進プロジェクトで評価を行い、評価内容を取締役会に上程し、審議、進捗管理を実施します。
当社は環境マネジメントシステム(JISQ14001:2015/ISO14001:2015)の認証を取得しており、GHG排出を含む環境負荷などのリスクの特定に関して、環境マネジメントシステムを通して環境影響評価を実施しています。TCFDで求められる気候変動に伴う移行リスク及び物理的リスクは事業環境そのものを大きく変化させる可能性があるため、サステナビリティ推進プロジェクト等で協議を行い、環境マネジメントシステムの環境影響評価に加えて、シナリオ分析により、TCFDのフレームワークに沿ったリスクの選別・管理・評価するアプローチを検討してまいります。

指標と目標

特定したリスクと機会を評価・管理する指標として、当社グループでは事業活動におけるScope1・Scope2・Scope3の温室効果ガス排出量を測定し、中長期的な目標を掲げて推進いたします。2050年度にはネットゼロの実現を目指します。

2021年度実績 2023年度実績 2030年度目標値 2050年度目標値
Scope1 ※1,2,3 21 24 ゼロ ゼロ
Scope2 ※1,2,3 110 115 66 ゼロ
Scope3 ※4  ‐ ゼロ
  1. 現行のScope1とScope2は単体。今後連結で測定していきます。
  2. Scope1と2は両方の合計値を2021年度実績比で2030年度には40%削減を目指します。
  3. 2030年以降で発生するGHG排出量Scope1及び2に関しては、最大限の努力でGHG排出量の削減に取り組みます。Scope2の2030年度目標66の様な削減が困難な残渣分に関してはオフセットを実施する予定です。
  4. Scope3は算定中です。実績算定出来次第、単体および連結の目標値を設定します。